夜景遺産認定地
しせきえにちじあとらいとあっぷ「つきまちのあかり」
史跡慧日寺跡ライトアップ「月待ちの灯り」毎年初夏に行われる特別なライトアップイベント「月待ちの灯り」は、史跡活用の一環として、かつての寺院の壮大さと静寂を体感できる貴重な機会を提供。日没後に約1,000基の灯ろうなどによってライトアップされる復元建物や遺構を通して、幽玄な光世界を創り出す。
「慧日寺跡」は福島県磐梯町に位置する国指定の史跡。慧日寺の創建は平安時代初期、奈良から東国へと至った法相宗の僧「徳一」による。奈良時代から平安時代にかけて東北地方に広がった仏教文化を象徴する寺院の一つで、その隆盛は地域の宗教的・文化的な発展に大きく寄与した。明治初年に廃寺となったが、現在は町による史跡整備事業によって遺構の復元整備や指定地の環境整備が進められており、中心部は平安時代初めの歴史景観が甦っている。毎年初夏に行われる特別なライトアップイベント「月待ちの灯り」は、史跡活用の一環として、かつての寺院の壮大さと静寂を体感できる貴重な機会を提供。日没後に約1,000基の灯ろうなどによってライトアップされる復元建物や遺構を通して、幽玄な光世界を創り出す。「月待ちの灯り」という名は、古代の信仰である「月待ち」に由来。満月や新月を迎える夜に月を崇拝しながら祈りを捧げるという習慣で、その伝統を現代に蘇らせたというストーリーを伝えている。特に、金堂や中門が浮かび上がる様子はかつての寺院の威容を感じさせ、訪れる人々に感動を呼ぶ。澄んだ月夜にはライトアップされた遺構が相まって、時代を超えた幻想的な世界を創出している。鑑賞環境や観光的取り組みへの積極的な点も評価。ガイドによる史跡の解説ツアー、伝統民俗芸能「磐梯神社の巫女舞」、「赤枝彼岸獅子舞」、特産品を販売する屋台なども設けられ、地域文化を堪能できる多彩なプログラムが用意されている。日常の喧騒から離れて心をリセットする貴重な夜のイベントとも言えるだろう。